◆ 今 月 の 一 句 ◆
大 井 恒 行
◆3月分
手 と 足 を も い だ 丸 太 に し て か え し 鶴 彬
1938(昭13)年、29歳で獄中死した〈つる・あきら〉の川柳である。前年の
「川柳人」281号(昭12年・11月)に他の句「屍のいないニュースで勇ましい」
「万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た」などとともに発表された最後の作品。丸
太とは死体のことである。彼の川柳は平易な言葉で一読して理解できるのが特徴である
。この作品が反戦川柳であるとして、治安維持法違反で検挙、中野区野方署に留置され
た。鶴は21歳の時、入隊してすぐ「無産青年」(日本共産同盟機関紙)を密かに兵士
に配布し、金沢第七連隊赤化事件を起こし、軍隊監獄にぶち込まれている。
その他にも「おんどりみんな骨壷となり無精卵ばかり生むめんどり」「修身にない孝
行で淫売婦」「これからも不平言うなと表彰状」などがある。
ともあれ現在、アメリカはイラク攻撃を正義という欺瞞のもとに開始しようとしている
。すべての戦争に反対する運動を、組合が労働者の生活と権利の防衛のために率先する
ときが来ているのではないか。
本名・喜多一二(きた・かつじ)、1909(明42)年石川県川北郡生。